SIPECジャーナル
修士課程
国際政治学専攻は、安全保障コースとグローバルガバナンスコースから構成されています。地域研究や外交史も本専攻では主要講座として多く開講していますが、これらは安全保障、グローバルガバナンス共に関連する科目となります。国際政治学専攻は国際政治学の各分野で研究者を目指す人、また、国際機関や官庁など実務の道に進みたい大学院生のために準備されており、国際政治学の基本から専門分野まで体系的な訓練を受けることができます。また、実務家による講座も設けられています。過去、本専攻からは多くの国際政治研究者や地域研究者、実務家を輩出してきました。本専攻では、社会人のキャリアアップ・アカデミックリターン入学を特に奨励しています。実務家が再び国際政治理論や、政策・事象分析の方法論に立ち返り、自らのキャリアのステップアップに役立てると同時に、国際政治学に実務的視野を反映させることに貢献することを目指します。
安全保障コース
安全保障コースは、国際政治学の中でも、戦争と平和、安全の問題を主要な研究対象とする「安全保障」を専門的に研究するプログラムです。戦勝の原因、勢力均衡や同盟をめぐる諸問題、危機管理といった伝統的な安全保障問題に加え、日本の政治と安全保障、非伝統的・新領域の安全保障問題、内戦、平和活動などのグローバルな軍事安全保障問題を理論、実証、政策にわたって検討します。研究者、実務家それぞれの目的に合わせ、体系的に講座が配置されます。
グローバルガバナンスコース
グローバルガバナンスコースは、主権を中心とした国際政治の伝統的枠組みを超え、国家間協力や制度、市場と国家の関係、国際秩序の問題を地球的視野から捉えようとするプログラムです。専門領域としては、貿易や金融など「市場」と「国家」との関係を研究する国際政治経済学、グローバル・コモンズとしての環境の保持を巡る制度と問題、そして、国際協力、国際機構と公共政策とに分けられます。研究者はもとより、これから国際機構やNGOなどでの実務に進むことを希望する人に道を開きます。
(修士課程研究コロキアム)
国際政治学専攻の院生に対して、2年次の夏期に行われているのがこのコロキアムです。コロキアムでは、論文や研究の審査の前に、院生が取り組んでいる研究を教員や他の院生の前で一度報告し、アドバイスを得ることを目的にしています。
修了要件等
修士課程の修了要件は、2年以上在学し、所定の単位以上を修得し、必要な研究指導を受けた上、一外国語認定に合格し、修士論文または特定課題研究成果の審査および最終試験に合格することです。修了方法には、(1)「修論研究」と(2)「課題研究」とがあり、修了要件は各修了方法により異なります。「修論研究」は、研究指導教員の指導により修士論文を作成しその論文審査に合格して修了する方法です。「課題研究」は、課題研究の成果を作成しその審査に合格して修了する方法です。
修了要件単位数
(1)修論研究
修了要件30単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より12単位、選択科目としてA~C群科目より10単位修得する。
必修 | 2年次配置 | 「演習 I」 | 2単位 |
---|---|---|---|
「演習 II」 | 6単位 | ||
選択必修 | A・B 群科目より12単位 | ||
選択 | A群科目 | より10単位 | |
B群科目 | |||
C群科目 | |||
計 | 30単位 |
(2)課題研究
修了要件38単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より18単位、選択科目としてA~C群科目より12単位修得する。
必修 | 2年次配置 | 「演習 I」 | 2単位 |
---|---|---|---|
「演習 II」 | 6単位 | ||
選択必修 | A・B 群科目より12単位 | ||
選択 | A群科目 | より12単位 | |
B群科目 | |||
C群科目 | |||
計 | 38単位 |
過去の研究テーマ紹介
修士論文
- 2017年
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- 2013年シリア危機をめぐるアメリカの報道と世論-党派的分極下のメディア・フレーミング
- アキノ政権の対中南シナ海政策の変遷と国内要因の影響-漁民問題とエネルギー問題の分析から-
- 自衛隊海外派遣推進の起源と国連外交 1955-1958-外務省国際協力局第1課と国連代表部を中心に-
- 在日米軍基地問題の比較研究-地方自治体の態度の違い
- アラブ諸国においてイスラム的要素が水ガバナンスに及ぼす影響-現代スーダンの水ガバナンスを通して-
- オーストリアにおける移民背景の若者達へのNGO及び自治体による支援政策-ザルツブルクの若者支援活動-
- 中国社会の中の「憤青」-若年層の愛国主義(パトリオティズム)とナショナリズム意識
- 2016年
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- 1992年天皇訪中と日米関係ー中国の孤立回避のための日米外交協調
- 中国の国連PKO政策-国連PKOにおける武力行使に焦点を当てて
- 戦間期日本と紛争の平和的解決
- 「世界銀行によるアフガニスタン復興支援-対反乱の視点から」
- 中国の軍拡がもたらす日米同盟のネットワーク化促進
- 1970年代の極東での日ソの影響力の変容-戦略文化とスマート・パワーから-
- 2015年
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- なぜ英国はアデン危機(1962-67)において英国の古典的対反乱原則の適用に失敗したか
- 現代フランス政治とカトリック -ライシテの理念と現実-
- ウクライナの戦略文化-欧州統合政策の構造的限界と対中国関係を中心に
- 中国共産党の反米姿勢の形成課程と国際情勢認識 -ギリシャ情勢の反映と内戦の予想-
- 中国はなぜ朝鮮戦争を早く終結できなかったのか -中国の戦争目的の変更に焦点を置いて-
- 国家責任法上の不承認義務:主権免除の否定に関する理論的可能性を中心に
- 「愛国主義教育」から「中国の夢」へ-中国共産党の統治の正統性を求めて-
- UKUSA協定の成立:英米SIGNT協力史
- キリスト者知識人の植民政策学の研究: 矢内原忠雄の分断されたイメージの統合を目指して
- 国境を超える民族-雲南省と新疆ウイグル自治区を事例として-
- 環境規制と経済発展-EUの化学物質管理規制REACHを題材とした東南アジアにおける化学物質規制の地域協力に関する研究-
- 気候変動政策実施におけるガーナ政府と農家の間における連携の理解
- 米国における食料安全保障 肥満とSNAPの因果関係についての研究
- 2014年
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- インドとG4 ~インドの安保理常任理事国入りに向けた取り組み~
- 防衛外交(defense diplomacy)の側面から見る能力構築支援の安全保障政策上の意義
- オスロ・プロセスと規範カスケード ―規範企業家と規範守護者の対決
- 国際司法裁判所判例を通じたジェノサイド条約の発展 ~「条約の普遍性」と「責任の普遍性」を軸に~
- 2レベルゲームと政策ネットワーク:MFA締結交渉とウルグアイラウンドにおける繊維交渉の比較研究
- テロリズムの限界 :なぜチェチェン紛争において、チェチェンは独立できなかったのか
- 2013年
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- 包括的アプローチ成立の条件 -イギリスのアフガニスタン平和支援活動からの検討-
- Intractable Conflict(執拗紛争)における仲介 ~その仲介成功の条件~
- 米中間の「戦略的不信」と中国の北朝鮮への影響力の限界:中国の米国による対中封じ込めへの懸念と中朝関係
- 原子力政策における政策決定過程の日独比較:アクターの多様性
- 2012年
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- ブレアのイラク戦争 -英米の「特別な関係」と国際的影響力の維持-
- アメリカ主導の多角的軍事行動参加にみる双方向性 -リーダー・フォロワー関係の視点を用いてのアメリカ、オーストラリアの分析-
- 「米国の平和支援活動における各省庁の独立性 ― 現地警察機構再編をめぐる司法省と国防総省の取り組みと現地の問題」
- バンドン会議と1950年代の日中関係
- 1983~92年、野党時代のイギリス労働党の安全保障・防衛政策 ~一方的核放棄へのコミットメントをめぐって~
- サイバースペースと安全保障
- 古典的リアリズムとコンストラクティヴィズムの統合は可能か? ―― ハンス・モーゲンソーの国際政治理論を中心に
- 難民・移民の受入制限はいかに正当化されるか ― オーストラリアの事例によせて
- 地域分散型の電力体制へ向けて
- 国連人道問題調整事務所が主導する自然災害の国際人道支援活動におけるクラスターアプローチの適用 -調整メカニズムと民軍連携への影響の分析-
- 2011年
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- 平和構築の為のメディア支援の役割とその課題
- スペイン内戦に対する英外交の史的考察
- ウイルスをめぐってWHOとCBDが交差する時 -インドネシアの鳥インフルエンザウイルス提供拒否に端を発して-
- 中国における自主創新政策の展開
- Pacta tertiis規則の克服のための新たな視点 -国際連盟及び国際連合の非加盟国に対する強制措置を素材として-
- 「一つの中国」をめぐる攻防 -民進党政権下で国民党と共産党の和解-
- 被害国以外の国による個別的「経済制裁」の合法性 -対抗措置としての正当化の可能性-
- エネルギー安全保障の今日的課題 -リトアニアの原発再保有計画を中心に-
- 戦後処理と国際協調:旧ドイツ領南洋諸島と海底電線の権益を巡る日米関係を中心に
- 冷戦後のオーストラリアによる国際平和協力活動 ― 東ティモールと多角主義的支援
- 台湾海峡両岸の政治経済構造とECFAの成立
- パレスチナの政治主体としてのハマス―ファタハとの攻防
- アルメルのNATOデタント政策とベルギー外交 ~なぜアルメルはNATOのデタント政策にイニシアティヴを発揮しえたのか~
- 2010年
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- 宮沢喜一の中国認識と対中政策 ― 中国との共存の模索
- 冷戦後世界における海洋秩序の形成とその性格
- 産業の空洞化における環境規制要因に関する研究
- 日米同盟における共同防衛の進展と課題
- 統合のための文化・社会対話 ― 欧州・地中海パートナーシップに関する考察
- 印パ対立への米国の関与
- ICJ暫定措置の新潮流
課題研究
- 2017年
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- 尖閣諸島、竹島、沖ノ鳥島は「島」か「岩」か 南シナ海を巡る国際仲裁裁判を素材に
- 英国はなぜフォークランド紛争を早期に終結させることができたのか-戦争を終結させるために必要な戦争指導について-
- 台湾アイデンティティ~意識調査の分析を通して~
- Social Media and the American Presidency : Comparing the Twitter Accounts of Barack Obama and Donald Trump
- 東南アジアにおける中国の援助政策の変遷---カンボジアとフィリピンを事例として---
- 2016年
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- Chinese American Political Participation in U.S. Election :How Chinese American Organizations Help Politicians Win Elections
- 2015年
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- 規範受容スパイラルモデルの有用性についての検証 ~エルサルバドルの人権規範運動を通して~
- スポイラー問題と関連してのリベラル・ピースビルディングの成否要因の考察: シエラレオネとリベリアにおける事例
- 2014年
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- 独ソ関係と日米開戦
- 2013年
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- 難治紛争と平和構築-イスラエル・パレスチナ紛争を事例として
- 「保護する責任」適用後の国際社会による国家再建の責任
- ①CCTVの国際交流沿革から考える中国のメディア外交 ②中国の文化外交とパブリック・ディプロマシー
- 難民問題の恒久的解決としての難民開発援助を通した庇護国定着に関する研究 -ザンビア・イニシアティブを事例として-
- 2012年
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- 日本の対中南米FTA政策
- パブリックディプロマシーとしてのガリオア留学プログラム
- 2011年
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- 原発問題をめぐってアルメニアのエネルギー安全確保に関する一考察
- 2010年
-
- 冷戦後における豪外交政策の事例研究
- 独仏"エンジン"がリードするヨーロッパ経済通貨統合 ― "計画外"の統一によるドイツの妥協
- 1998年日米航空協定改定への一考察 以遠権による日米対立と日米合意
博士後期課程
修士課程を終了したあと、さらに本大学院で研究に専念したい方のために、博士後期課程が設けられています。博士後期課程は、主に研究者を育成するための、より高度で専門的なプログラムです。博士候補に選ばれた方は、現代の国際政治を理解するうえで重要な具体的研究データを選び、5人の指導教員の下で博士論文を仕上げ、論文の審査を受けます。今まで本大学院の国際政治専攻から博士号を取得した者は15人おり、大学などで教鞭をとったり研究職についてます。
修了要件等
課程の修了には、所定の修業年限の在学、1外国語の認定合格、博士学位申請論文の審査合格および最終試験(口述試問)に合格しなければならない。国際政治学専攻、国際経済学専攻、国際コミュニケーション専攻について、各専攻の授業科目4単位および研究指導演習科目12単位を修得しなければならない。
授業科目
国際政治学専攻 | 前期 | 後期 | 計 |
---|---|---|---|
1年次 | 国際政治学持論Ⅰ(2単位) | 国際政治学持論Ⅱ(2単位) | 4単位 |
研究指導演習科目
国際政治学専攻 | 前期 | 後期 | 計 |
---|---|---|---|
1年次 | 国際政治学 研究指導 演習ⅠA(2単位) |
国際政治学 研究指導 演習ⅠB(2単位) |
4単位 |
2年次 | 国際政治学 研究指導 演習ⅡA(2単位) |
国際政治学 研究指導 演習ⅡB(2単位) |
4単位 |
3年次 | 国際政治学 研究指導 演習ⅢA(2単位) |
国際政治学 研究指導 演習ⅢB(2単位) |
4単位 |
博士後期課程の修業年限は標準3年(大学院学則第10条)と定められているが、優れた研究業績を上げた者については在学期間3年以内でも修了することが可能である。3年以内に修了する場合は、在学期間に応じた上記単位数を修得すれば良いものとする。ただし、本研究科においては、博士学位申請論文提出までのプロセスが定められているので、そのプロセスを経なくては博士学位申請論文を提出することができない。
学位申請論文提出要件およびプロセス
博士学位申請論文提出までの諸注意
課程修了のためには、以下の試験に合格しなければならない。なお、以下の各試験を受験する際には、研究指導教員、副研究指導教員を含む5名の教員から構成される研究指導委員会の委員が決定している必要があるので、お申し込みの際には必ず教務課にて各自の研究指導委員会の委員が決定しているか確認すること。
- 博士論文研究計画評価
- 博士論文中間報告(合否判定なし)
- 博士論文最終報告
- 博士論文最終審査