国際経済学専攻

修士課程・博士課程・研究テーマ

修士課程

グローバル化が進む現代社会において、国際経済学の役割は、ますます重要になっています。国際的な経済現象を経済理論を踏まえて適切に把握し、さらに有効な政策手段を提示する政策科学として理解するために、国際経済学専攻修士課程は次の分野を中心とするカリキュラムを用意しています。第1は、国際経済学・ゲーム理論・ミクロ経済学・マクロ経済学そして実証研究のための統計分析といった経済理論の分野です。第2は、国際金融・国際経済政策・国際産業組織など主に先進諸国間の国際経済政策にかかわる分野です。そして第3は、国際開発論・国際開発政策・アジア経済論・国際環境論などの開発途上国やアジアを対象とする分野です。国際援助機関や欧米先進国の援助方式と日本のそれとのあいだに政策や哲学の違いもみられますが、日本の発展途上国の健全な開発への協力は、わが国の将来をかけた最重要課題のひとつです。
本専攻では、理論と実証の双方から高度の専門知識をもつ国際経済の専門家が多様な領域についてのエキスパートを養成しています。本専攻は、最新の理論と数量的手法を基礎から学ぶことで、今日の経済課題をさまざまな視点から科学的に考察できる実力を備える人材の育成を目指します。

国際経済コース

本専攻では、経済学の基礎から応用までを学ぶことができます。現代の経済、社会問題の理解に欠かせない統計分析の手法も基礎から学べます。すでに基本知識を有している方には、高度な内容の授業も準備しています。社会に出る前に、より専門的な知識を得たい学生の方、将来研究者を志望する方、キャリア・アップを図り一層充実した職場生活を送りたい方、社会人としての経験を学問的に考究し、論文や著書としてまとめてみたい方、現在の生活から1歩踏み出し、知的なチャレンジをしてみようと思う方、このような方々に、少人数のクラスで懇切丁寧に指導します。

修了要件等

修士課程の修了要件は、2年以上在学し、所定の単位以上を修得し、必要な研究指導を受けた上、一外国語認定に合格し、修士論文または特定課題研究成果の審査および最終試験に合格することです。修了方法には、(1)「修論研究」と(2)「課題研究」とがあり、修了要件は各修了方法により異なります。「修論研究」は、研究指導教員の指導により修士論文を作成しその論文審査に合格して修了する方法です。「課題研究」は、課題研究の成果を作成しその審査に合格して修了する方法です。

修了要件単位数

(1)修論研究

修了要件30単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より12単位、選択科目としてA~C群科目より10単位修得する。

必修 2年次配置 「演習 I」 2単位
「演習 II」 6単位
選択必修 A・B 群科目より12単位
選択 A群科目 より10単位
B群科目
C群科目
30単位
(2)課題研究

修了要件38単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より18単位、選択科目としてA~C群科目より12単位修得する。

必修 2年次配置 「演習 I」 2単位
「演習 II」 6単位
選択必修 A・B 群科目より12単位
選択 A群科目 より12単位
B群科目
C群科目
38単位

過去の研究テーマ紹介

修士論文

2017年度
  • 2013年以降の円安の貿易に対する影響について
  • 日本と中国輸出構造高度化の比較研究
  • 日本企業の生産性及び収益性の推移-営業キャッシュフローによる実証分析-
2016年度
  • 中国における金融市場調節-VARモデルによるリーマンショック以降の金融政策の検証-
  • 東京港の整備における定率特定補助金(ピグー補助金)の妥当性に関する実証的研究
  • アジアのFTAはどれ程の貿易創出効果をもたらしたか~用途別財分類による実証分析~
  • 日本の金融政策の実証研究
2015年
  • 政府 VS 関係的契約: 日本における職務発明規定(特許法35条)から得られる新たな証拠
  • 日本の新興市場は、健全企業を育成しているのか? ~東証マザーズに上場する企業の財務データを用いた実証分析~
  • 現代日本女性における就業選択の変動要因について (東大社研若年パネルと壮年パネルを用いた計量分析)
  • 広告が消費者行動に与える効果の分析
  • 日本の介護産業における企業M&Aに関する研究 -介護保険制度との関係性及び収益性への効果を中心に-
2014年
  • 為替リスクの測定
  • 投資行動と為替レートの関係について
2013年
  • 中国における産業内貿易の拡大が産業間貿易に与える影響 ― 電気機械産業の貿易を対象とした実証分析
  • 日中韓FTAの締結が中国の地域間経済格差を拡大するか? ~中国東部地域と中西部地域における一般機械産業の国際競争力の比較~
  • 日本の金融政策と地域間格差 -政策反応関数による実証分析-
  • なにが工場労働者の職務意識を規定するのか ― 中国における組織コミットメントの役割
  • 中国地域別産業構造について -2000年中国8地域産業連関表による検討-
  • フィリピン、ボホールにおける農村信用市場 -債務不履行確率決定要因の検討-
  • 消費の平準化とパーソナル・ネットワーク フィリピンの農村部の大型台風「ミレニオ」のケース
  • ICTの発展がいかに超巨大プラットフォーム企業を出現させたか ~取引費用の変化がネットワーク外部性に及ぼす影響のモデル分析~
2012年
  • 最適成長下における分配と厚生
  • 金融政策の透明性強化が金融市場に与える影響に関する一考察 ~日米中央銀行のコミュニケーション政策
  • 上海における公的年金制度改革 -財政維持可能性の実証分析-
  • 多国籍企業における労務管理 ― タイにおける日系企業の事例を中心に
  • 中国―香港間の為替レート変化率と金利差に関する実証分析
2011年
  • 中国の対外収支の展望と評価効果
  • 移民送金が中南米・カリブ海諸国の経済成長に与える影響:パネルデータによる分析
2010年
  • マンデルフレミングモデルの枠組みを用いた財政・金融政策の検証 -財政・金融政策はあらゆる国で同様の効果を持つのか-
  • 児童労働の誘因分析と撤廃政策の有効性に関する研究

課題研究

2017年
  • 預金保険制度によるモラルハザードの研究-アメリカ・日本・中国の経験
  • The impact of seed credit and training programs on irrigated rice farming in Mozambique: an application of the propensity score matching method
2016年
  • 性別の労働需要の分析-日本の製造業のケース-
  • 大正バブル経済-平成バブルとの比較による検証-
2015年
  • 中国の非正規金融についての研究--温州の民間金融を例として
  • 日本のREIT市場に関する実証分析 -株価と金利及び日銀の金融政策がREIT市場に与えた影響の検証-
  • 中国における家計貯蓄率の実証分析-人口高齢化の影響を中心に-
2014年
  • フィリピン農村における教育投資の決定要因
  • 日本の製造業の生産構造の分析 -主要5部門のケース-
2013年
  • 中国におけるエネルギー税導入のシミュレーション分析
  • カンボジア農村部における児童労働と就学について -レビューを通して-
  • 最適な市場規制に関する一考察 -ミクロ的及びマクロ的経済理論アプローチと事例研究-
  • Productivity of Technology Spillover from Foreign Direct Investment: The evidence by China's experience
  • アメリカにおけるFDI流入と移民流入について -各州のデータを用いた実証分析-
  • New Challenges of Microfinance and Possible Solutions
  • 中国の経済格差-ジニ係数の検証
2012年
  • 東アジアにおけるFTAが機械産業貿易に与える影響:GTAPによるシミュレーション
2011年
  • 日中の実質為替レートの比較 ―国内需要を加えたBalassa-Samuelson仮説の下での分析―
  • 幸福感に関する論文サーベイと労働から得られる充足度・生きがいについての実証研究。
  • 環境対策に熱心な企業は企業業績も優秀であるという仮説を設け、日本の企業の中で環境と経済の共存の可能性を実証させる。
2010年
  • 幸福感に関する論文サーベイと労働から得られる充足度・生きがいについての実証研究

博士後期課程

国際経済を学ぶには、時代を超えた理論的展開を読むことのできる能力が必要です。絡まった糸を丁寧に解く精神力と激しく変化する国際経済を適切に捉えて正しい方向に社会を向かわせる経済理論が、これまで以上に求められています。国際経済学専攻博士後期課程では、国際経済にかかわる理論と実証研究双方についての第一線の教授たちが、研究者の養成のための高等教育プログラムを指導しています。これまでに12人が本専攻から博士号を取得して研究職についています。

修了要件等

課程の修了には、所定の修業年限の在学、1外国語の認定合格、博士学位申請論文の審査合格および最終試験(口述試問)に合格しなければならない。国際政治学専攻、国際経済学専攻、国際コミュニケーション専攻について、各専攻の授業科目4単位および研究指導演習科目12単位を修得しなければならない。

授業科目

国際経済学専攻 前期 後期
1年次 国際経済学持論Ⅰ(2単位) 国際経済学持論Ⅱ(2単位) 4単位

研究指導演習科目

国際経済学専攻 前期 後期
1年次 国際経済学 研究指導演習ⅠA(2単位) 国際経済学 研究指導演習ⅠB(2単位) 4単位
2年次 国際経済学 研究指導演習ⅡA(2単位) 国際経済学 研究指導演習ⅡB(2単位) 4単位
3年次 国際経済学 研究指導演習ⅢA(2単位) 国際経済学 研究指導演習ⅢB(2単位) 4単位

博士後期課程の修業年限は標準3年(大学院学則第10条)と定められているが、優れた研究業績を上げた者については在学期間3年以内でも修了することが可能である。3年以内に修了する場合は、在学期間に応じた上記単位数を修得すれば良いものとする。ただし、本研究科においては、博士学位申請論文提出までのプロセスが定められているので、そのプロセスを経なくては博士学位申請論文を提出することができない。

学位申請論文提出要件およびプロセス

博士学位申請論文提出までの諸注意

課程修了のためには、以下の試験に合格しなければならない。なお、以下の各試験を受験する際には、研究指導教員、副研究指導教員を含む5名の教員から構成される研究指導委員会の委員が決定している必要があるので、お申し込みの際には必ず教務課にて各自の研究指導委員会の委員が決定しているか確認すること。

  • 博士論文研究計画評価
  • 博士論文中間報告(合否判定なし)
  • 博士論文最終報告
  • 博士論文最終審査