国際コミュニケーション専攻

修士課程・博士課程・研究テーマ

修士課程

本専攻は言語学、地域文化・比較文化論、コミュニケーション学の3つを柱としています。言語については、言語の機能や構造などを基礎から学びます。言語と密接な関係にある文化については、ヨーロッパ・アジア・アメリカなど様々な地域文化研究や比較文化研究を行うことができます。さらに国際コミュニケーション、異文化コミュニケーション、対人コミュニケーション、多文化共生などの領域における諸理論を学びます。

本専攻には主に3つの特徴があります。第一に、カリキュラムが他専攻と繋がっているので、研究テーマをミクロ、マクロの両方の視点から有機的に学ぶことができます。第二に、理論研究、実証研究の両方が充実し、とくに研究法関連のコース内容は多岐に亘っています。第三に、研究課題の立案や文章表現のコースなど、論文執筆に係るサポートも充実しています。

本専攻には、一般学生のみでなく、企業や官公庁、語学教育、マスコミ、開発援助、通訳・翻訳そして国際協力の最前線にいる方が多く在籍しています。修了後、より高度な専門性を職場で発揮する方や、大学・短大レベルの教員として活躍する方も多々います。

国際コミュニケーションコース

本専攻は、国際コミュニケーションの専門的な知識とスキルを学生が幅広く身につけられるように、言語、文化、コミュニケーションの3分野の専門科目(基礎科目(A郡)と発展科目(B郡))を1コース内に配置しています。1コース制のメリットとして、学生が各自の関心に基づき3つの分野を横断する独自の履修プランをデザインできることが挙げられます。そのため、様々な科目を履修する中で、入学時とは異なる研究分野に関心をもった場合でも、研究内容と研究アプローチを柔軟に変更することができます。3つの分野のどこに重点を置くかによって、修士論文・課題研究論文を執筆する際の指導教員を選ぶことができます。最後に、指定された科目を履修することで、専門社会調査士の資格申請が行えることを特記しておきます。

修了要件等

修士課程の修了要件は、2年以上在学し、所定の単位以上を修得し、必要な研究指導を受けた上、一外国語認定に合格し、修士論文または特定課題研究成果の審査および最終試験に合格することです。修了方法には、(1)「修論研究」と(2)「課題研究」とがあり、修了要件は各修了方法により異なります。「修論研究」は、研究指導教員の指導により修士論文を作成しその論文審査に合格して修了する方法です。「課題研究」は、課題研究の成果を作成しその審査に合格して修了する方法です。

修了要件単位数

(1)修論研究

修了要件30単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より12単位、選択科目としてA~C群科目より10単位修得する。

必修 2年次配置 「演習 I」 2単位
「演習 II」 6単位
選択必修 A・B 群科目より12単位
選択 A群科目 より10単位
B群科目
C群科目
30単位
(2)課題研究

修了要件38単位の内訳は、必修科目として「演習Ⅰ」(2年次配置) 2単位、「演習Ⅱ」6単位、選択必修科目としてA・B群科目より18単位、選択科目としてA~C群科目より12単位修得する。

必修 2年次配置 「演習 I」 2単位
「演習 II」 6単位
選択必修 A・B 群科目より12単位
選択 A群科目 より12単位
B群科目
C群科目
38単位

過去の研究テーマ紹介

修士論文

2017年
  • 既婚女性のキャリア選択におけるワーク・ライフ・バランスの実現形態-複線径路・等至性アプローチを用いた質的研究-
  • 中国人大学生が日本に留学する意識と動機の検討-ナショナルアイデンティティの視点から-
2016年
  • 大学生の「断り方」に見られる日本人と韓国人の面子の比較研究
  • 日越医療通訳者の異文化ファシリテーターとしての役割
2015年
  • 「グローバル人材」の要件に関する一考察
  • 日本における若年ゲイのつながり-現実社会とツイッターに着目して-
  • シンガポール「建国の父」リー・クアンユーの言語イデオロギー -公用語の位置づけへの反映と英語帝国主義との関係-
  • 高等学校の教師が避けるべきFTA
2013年
  • 中国にルーツを有する若者のアイデンティティ形成過程 -中華学校卒業生を対象とする質的研究-
  • 「눈치(nunchi)」を含む韓国語慣用表現の認知言語学的考察 -韓日「察し」の方法比較-
  • 短期海外経験における自信感の形成要因 -目的の異なる2つのプログラムの比較を通して-
  • プランコンプレキシティの日露比較 ― 多母集団同時分析を用いた因果モデルの検討
  • 青山学院大学留学生の受け入れ ― 留学生とチューターとの関係
  • 新世代の中国の若者の面子に対する意識についての一考察 -日本に滞在する「80后」を対象に-
2012年
  • 反意語並置表現について ― 日本語の〝近いけれど遠い"を中心に
  • ハイドロ・ヘゲモニー:中国とメコン流域における水力開発
  • 日本国内における相互協調性の集団差に関する研究 ― マルチレベル分析を用いた検証
  • ポライトネスの言語表現と性差研究の再考 -中国語と日本語の比較研究から-
2011年
  • 空間から時間への写像 -日本語の時間概念の視点から-
  • 修辞学における魔法の数字3:オバマ大統領と第43代ブッシュ大統領の就任演説におけるトライアッドおよび2部構成の使用の相違
  • 原理とパラメータのアプローチにおける、日本語・クレオールをはじめとする独特とされる言語の分析:Fukuiの理論の修正に向けての一試案
  • 異文化理解に基づく韓国語教育の構築 -日本人を対象に-
  • 日本人のレスポンス・スタイルに関する探索的研究:構造方程式モデリングを用いた検証
2010年
  • 自己を解放するとは ―『天使も踏むを恐れるところ』と『眺めのいい部屋』に関する一考察
  • 日米の幼児向け教育番組における文化的価値観の検証:ミックス法を用いた研究
  • リタイアメント層の異文化適応 -タイ在住日本人ロングステイヤーの語りから-
  • 地域変種話者の言語意識の構築 -上京者たちの語りから-
  • 意味拡張の一方向性 ― 類義語MAYとCANの事例から

課題研究

2017年
  • 英国エディンバラ公国際アワード 修了者の経験と自信感の獲得
  • 宝塚歌劇団のマネージメント戦略における熱狂的宝塚ファンに関する考察
  • Preparing Training Programs for Shared House Managers to offer Hospitality to Japanese and Foreign Students
  • 中華人民共和国における就学前の子育て・教育理念および実践の変化-1980年前後生まれの中国人親へのインタビュー調査から-
  • 日本の無医村に赴いた台湾出身歯科医師家族のライフストーリー
  • Cultural Perceptions of Japanese and Americans Regarding Political Scandals: Morality vs. Law
2016年
  • ベトナム人留学生の日本語学習への動機づけの特徴
  • Classifierを持つ言語と持たない言語の違いについての一考察 : Dの有無との相関性について
  • 第二言語習得と母語獲得の平行性について:機能範疇の欠如に焦点を当てて
  • ホールデンの生きづらさとアリーの死-サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(1952)の一考察
  • 中西伊之助が見た「台湾の真の風味」について
2015年
  • 中国の若者が抱く矛盾する日本観-日本動漫と愛国教育の影響の狭間で-
  • 異文化トレーニング プログラムデザイン -インド長期赴任者向け異文化トレーニングプログラムの提案-
  • 高校英語教育におけるWillingness to Communicate(WTC)に関する探索的研究 -コミュニケーション能力育成教育のあり方をめぐって-
  • 『相思青花』から見る陳舜臣の歴史理解
  • 我々の心に写し出される落語の「噺」の構造
  • 終助詞を持つ言語の統語的特徴について-日本語、中国語、英語の比較を通して-
  • エリザベスの精神的成熟と真のやさしさ--『高慢と偏見』の自尊心の正しい持ち方--
  • 日本人と中国人の初対面場面における自己開示
2014年
  • 留学生受け入れ過程にみられるホストファミリーの受け入れ動機の変容プロセスについて
  • 日系二世部隊に見るアイデンティティーの形成プロセスについての考察
  • コミュニケーション調整理論の視点から見る視覚しょう碍者と健常者間のコミュニケーションの考察
  • 中国における現代女性の社会的地位の変容について -人口政策の変還と「剰女」現象-
  • フルタイム労働者とパートタイム労働者の代替の弾力性の推定 -日本の製造業のケース-
  • 中国語と日本語のトピック構文の比較研究
  • 中国語と日本語における疑問視の解釈についての一研究
2013年
  • 帰国子女の母親が子どもに望むものとは何か-母親たちの語りから-
  • ハイチ共和国の国連による安定化活動
  • 日本語受身文における非プロトタイプ性 -認知言語学の観点から-
  • How Japan Can Attract More Chinese Tourists
  • Revolutionから革命へ-中日語訳の交錯と梁啓超
  • 要素の省略から見た中国語の統語論の研究
2012年
  • レジオン・ドヌール日本人受章者にみる日仏文化交流史
  • 社会的ドメイン別機械翻訳活用事例のデータベース
  • 仮想空間における日系国際児の文化的アイデンティティの表現の仕方についての一考察
  • 中国語の語順に関して、主要な先行研究論文四編を批判的にレビューし、それを基に、日本語との比較をしつつ、独自の分析を示すことを試みた。
  • 台湾人女性のワーキング・ホリデー参加者を対象に、半構造化インタビューを用い、経験後の参加者はどのように変化してきたかについて探求してみる。
  • A Study of Female Facial Attractiveness : Universalism vs. Relativism
2011年
  • 『すべての季節の男』にみるトマス・モアの人間像
  • ヒップホップ文化の誕生と変遷 -主として言語で個性を表現したラップ・ミュージックから-
  • 『嬰寧』における「美」について考察する
  • R.H.ブライスと日本文化 -氏の功績と著作を通じて-
  • China's Internet-Based Social Media
  • On the Translation of Film Titles from English to Chinese
  • 異文化コミュニケーションにおけるホストとゲストの関係性 -日本旅館従業者の語りから-
  • 第三国定住支援:受け入れ地域コミュニティーのソーシャル・サポートの形成を目指す -受け入れ地域コミュニティーの為の異文化トレーニング提案-
  • サッカレーとキューブリックの『バリー・リンドン』 -人間性についての解釈の異同
  • シニア世代の英語学習者のニーズ分析とシラバス開発 -立川市シルバー大学における英会話講座の実践例から-
  • 日系国際児の捉える両親の教育観と自己について
  • 日本企業と韓国企業の危機管理コミュニケーションの考案(謝罪を中心に)
  • 『The Catcher In The Rye』と『The Great Gatsby』における村上春樹の翻訳姿勢について -野崎訳と村上新訳の比較を中心に-
  • 日本人と中国人の文化的価値観の違い ―職場における摩擦事例からの考察―
2010年
  • 開発理論における国民総幸福量指標が果たす寄与貢献
  • 異文化コミュニケーションの視点から、日中間における社会制度、慣習、文化、言葉などの相違から生じるコミュニケーション摩擦の要因分析
  • 中国英語の語彙についての研究
  • 日本の国際観光における日本人と訪日外国人旅行者のコミュニケーション :築地市場の事例から
  • 英国発の言語意識と言語教育の史的検討
  • 「和」の精神についての日中比較  ― 「十七条憲法を中心として」
  • 日本文化と華人文化の相違による摩擦の要因分析 ーカルチュラル・アシミレーターとクリティカル・インシデンツ

博士後期課程

国際コミュニケーション専攻博士後期課程は、関連分野で修士課程を修了した方にさらに高い研究能力と、豊かな学識を身につける機会を提供します。
本課程では、国際コミュニケーションの実践面より理論面に重点が置かれます。したがって、言語学(言語科学、社会言語学など)、地域文化・比較文化論、コミュニケーション学(国際、異文化、対人)の各分野における修士課程での研究を踏まえて、さらにそれぞれの領域をより深く掘り下げていくことが求められます。これまでに14名が本専攻から博士号を取得しています。

修了要件等

課程の修了には、所定の修業年限の在学、1外国語の認定合格、博士学位申請論文の審査合格および最終試験(口述試問)に合格しなければならない。国際政治学専攻、国際経済学専攻、国際コミュニケーション専攻について、各専攻の授業科目4単位および研究指導演習科目12単位を修得しなければならない。

授業科目

国際コミュニケーション専攻 前期 後期
1年次 国際コミュニケーション持論Ⅰ(2単位) 国際コミュニケーション持論Ⅱ(2単位) 4単位

研究指導演習科目

国際コミュニケーション学専攻 前期 後期
1年次 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅠA(2単位) 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅠB(2単位) 4単位
2年次 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅡA(2単位) 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅡB(2単位) 4単位
3年次 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅢA(2単位) 国際コミュニケーション 研究指導演習 ⅢB(2単位) 4単位

なお、博士後期課程の修業年限は標準3年(大学院学則第10条)と定められているが、優れた研究業績を上げた者については在学期間3年以内でも修了することが可能である。3年以内に修了する場合は、在学期間に応じた上記単位数を修得すれば良いものとする。ただし、本研究科においては、博士学位申請論文提出までのプロセスが定められているので、そのプロセスを経なくては博士学位申請論文を提出することができない。

学位申請論文提出要件およびプロセス

博士学位申請論文提出までの諸注意

課程修了のためには、以下の試験に合格しなければならない。なお、以下の各試験を受験する際には、研究指導教員、副研究指導教員を含む5名の教員から構成される研究指導委員会の委員が決定している必要があるので、お申し込みの際には必ず教務課にて各自の研究指導委員会の委員が決定しているか確認すること。

  • 博士論文研究計画評価
  • 博士論文中間報告(合否判定なし)
  • 博士論文最終報告
  • 博士論文最終審査