
SIPECジャーナル
夏休みに家を離れ、旅行に行った方も多いと思う。一方で、家族の元へ帰省した一人暮らしの方もいると思う。そこで、青山学院大学の学生で、一人暮らしをしている2年の小河舜(おご しゅん)さん、1年の玉井志歩さんに帰省についてのインタビューをした。
香川県高松市出身の小河さんは大学進学に伴い、上京して一人暮らしをしている。フェンシング部に所属する彼は、部活の合間を縫って故郷へと帰省した。
――香川県の実家に帰って、何か気づいたことはありましたか。
「家の風通しの良さと柔軟剤の匂いにまず気がつきました。高校生のときは気がつかなかったのですが」
――上京して自分自身の変化を感じますか。
「はい、お金を使うことが増えて、金遣いも荒くなったと思います。ただ、それ以外の変化はないし、香川県の友人にも特に何も言われませんね。むしろ、こっちが友達の変化にビックリしました。髪色とかね」
玉井さんは大学進学にあたり、名古屋から東京に来て初めての一人暮らしを始めた。名古屋では両親とペットの犬と暮らしていた。夏休み前は一週間に一回は家族と電話で連絡を取っていたそうだ。夏休み前にも2回帰省していたが、夏休みの帰省が一番長かったという。
――大学に入学するときはどういう気持ちでしたか。
「(緊張する)よりは行きたい大学に受かることができて嬉しかった。親元を離れて暮らすことへのちょっとした、あこがれと少しの不安がありました」
――久しぶりに自分の家に帰ったとき、違和感はありましたか。
「自分の寮が小さいので、(実家の)お風呂場がとても広いなと感じて、(一方で)実家ってこんなに小さかったのかと困惑しました」
――自分がいない間に変わったことはありましたか。
「特にないですね。犬の毛が伸びた以外変わっていないです」
――地元の友達に会いましたか。
「友達は夏休みにいっぱい会いました」
――大学という違う環境に来たことで、自分の地元の見かたは変わりましたか。
「漠然とですが、新幹線で帰るとき、東京から(乗って)名古屋で降りるのですが、東京を見てから名古屋を見ると、今まで大学に入るまでは名古屋が大都会だと思っていた自分が少しちっぽけでみっともない感じに思えました。都会(と呼べるのは)は東京、名古屋は日本の中心だけれど、やっぱり小さいなというのは感じました。その半面、(名古屋は東京に比べると)こんな都会だけれども、一応自分のふるさとだから、愛着心は以前よりも増したのかなと思います」
――帰省してほっとした瞬間はありましたか。
「やっぱりイヌの顔を見た時ですかね。お父さんとお母さんは東京にいつでも来られるかもしれないけれど、自分の大好きなペットは交通機関に乗れないので。わたしが(会いに)行くしかないから、イヌの顔を見た瞬間が一番ほっとする瞬間です」
――帰省してみて最後の方で帰りたくないなと思いましたか。
「ないです。全くないです。洗濯物をたたむのが面倒くさいから、家にいてもいいかなとは思ったりするけれど。家を出たくない(という気持ち)よりも、寮に帰りたくないという気持ちは今のところない」
――全く帰りたくないと思わせる魅力はなんですか。
「東京の魅力ってことですよね。一番の理由は、誰からも束縛されない、監視下にないから、変な話いつ寝てもいいし、いつ遊んでもいいし、自由なところが魅力的です。あとは電車一本で色々なところを観光できるっていうのも魅力の一つかなと思っています」
――夏休み振り返ってみてどうですか
「別に東京と地元がどちらがいいとか優劣はつけない。どちらも私にとっては好きな環境なので、帰省した時は地元を楽しんで、帰ってきたらまた東京を楽しむっていう感じで、まあどっちも楽しかったですね」
――自分が変わったと思うところはありますか。
「身近なところからいえば、やっぱり、服装とか身に着けるものとか。内面的な面でいえば、率先してものをやるようになった」
――それは自分で色々やらないといけない、ということとつながっていますか。
「寮では洗濯から家事、今までやってもらったことを全部自分でやらないといけないから、自分が動かないと生活がなりたたない。生活以外でも友達と遊ぶ約束とかしても率先して決めちゃうような感じにはなりましたね」
――自分の変化についてどう思いますか。
「後悔はないです」
――まだまだ変わっていくと思いますか。
「変わりますね、いや変わりたいです」
――どういう風に。
「きらきら大学生っていうのもいいけれど、ちゃんとやることをやって、遊ぶときは遊ぶっていう、理想があり、メリハリをつけられる、素敵な4年間の大学生活を過ごしたいと思っています」
大学の夏休みは、かなり長い。その分だけ、見た目、内面、いろいろ変わる。実家から離れた人、実家へ帰省した人、それぞれに変化がある。夏休み明けには友人の変化に驚き、自分の変わりっぷりを人から驚かれる。そんなスタートを切って、後期授業が始まる。
インタビューにご協力いただいた小河舜さん、玉井志歩さん、ありがとうございました。
(文責:武田、田中亜)