佐竹 繁春
CONDUCT BUSINESS WITH THE WORLD | 世界を相手にビジネスする
コンサルタント(公共系)
野村総合研究所
社会システムコンサルティング部
佐竹 繁春さん
公共系コンサルタントの仕事って?
「公共系コンサルタント」とは、企業経営を指南する「経営コンサルタント」とは異なり、社会システムや、国や自治体の課題解決を提案する仕事。国をまたいだ国家間の仕事も多い。仕事のステップを大別すると、①顧客の問題・課題を発見、②解決策の提案、③解決策の実行支援、のフェーズがある。これらを一気に実行したり、部分的に実施したりする。

ハイレベルなパフォーマンスを常に要求されるハードな仕事

 私が在籍している「社会システムコンサルティング部」は、官公庁と組んだグローバルな仕事が多い部署です。最初は先輩と組んで既存のプロジェクトに関わり、仕事を覚えていきますが、その後はやりたい仕事や自分の興味ある仕事を得るためにコンペなどに参加して(官公庁の場合、コンペのスタイルで発注されることが多い)仕事を受注し、自分がメインとなって仕事をしていきます。まだ若手でもコンサルタントと名乗って仕事をするからには、いつでも最高のパフォーマンスを求められる厳しい側面があります。
 私の場合、入社4年目の頃に、日本の国際援助の仕事に関わりましたが大きな挫折を経験することになりました。国際援助に関わる仕事は学生時代からやりたかった仕事でしたが、その時の私は分析に適したフレームワークを提案できず、また十分な言語力もありませんでした。本件に関わっていた顧客に大変な迷惑をかけ、散々の結果となってしまいました。

何事にも熱意をもってあたる。時には前例を破ることも必要

 その後しばらくは自ら仕事を取ってくる意欲も湧かず、他の人の仕事をサポートする日々が続きましたが、日本とサウジアラビアの間の合意に基づき、サウジアラビアの産業多角化に協力する「日本・サウジアラビア産業協力タスクフォース」という大きなプロジェクトに参加することが決まり、息を吹き替えすことができました。
 私はこのタスクフォースの日本側の活動を推進する「中東協力センター」に常駐。主に日本企業の誘致のために、会社設立に関する制度や生活関連情報など現地のさまざまな情報収集を行ったり、政府や関係諸機関へ支援を要請するなどしていました。そしてある日、現地の駐在員にならないかとオファーを受けました。私は「自分が中東に駐在することは、会社にとって必ずプラスになる」と上司を説得。顧客機関に出向後即海外駐在となる、当社の中では珍しい事例となり、約4年半の間、サウジアラビアに滞在しました。

佐竹 繁春さん

仕事を良い方向に後押しする、人間力

 顧客が叶えたい未来の姿があり、そこに向けて何をしたら良いのかを提案し、策を講じて支援を行うのが、コンサルタントの仕事です。サウジアラビアとの産業協力のケースでは、日本企業の誘致により、石油依存経済からの脱却や現地の若者の雇用創出に貢献するために、ある時には日本の大使館やサウジアラビア政府の上層部を巻き込み、日本企業の進出の実現をお手伝いします。
 駐在中に支援していたある日本企業の工場が、2017年の秋に完成しました。完成時、私はすでに日本に帰国していましたが、「セレモニーに来て欲しい」と招待され、感無量でした。こうした積み重ねもあり、2017年のサウジアラビア国王が来日した際に日本政府と合意した「日・サウジ・ビジョン2030」では、日本側の支援メンバーの中心となって動き、現在も、日本企業の誘致、省エネ意識のサウジ国民への浸透、日本式のスマート農業の普及等を目的としたプロジェクトに取り組んでいます。
 コンサルタントの仕事は、顧客に話を聞いてもらうことが第一歩。「この人が言うことは面白い」とか「何か必ず得るものがある」と思ってもらわなければなりません。それには人間的深みや魅力も必要になってくるので、私はコンサルタントを志望する後輩には「違法行為以外は、何でも経験するべき」と話しています。私も年齢を重ね、後輩を指導する仕事が多くなりましたが、まだまだ人間力を磨いていきたいと考えています。

佐竹 繁春さん

ある1日のスケジュール

  • 9:00〜10:00

    その日の業務内容やスケジュールを確認し、メールなどをチェック

  • 10:00〜11:30

    会社主催フォーラムでの発表準備のため役員らと打ち合わせ。作成中のプレゼンテーションの確認や修正提案を受ける

  • 11:30〜13:00

    昼食をとりながら、後輩が作成した調査のアウトプットを確認

  • 13:00〜17:00

    客先へ。サウジアラビアに進出する企業の支援に関する定例会議に参加。その後資料作成

  • 17:00〜20:00

    翌日開催される、自治体を対象とした、対内直接投資関連の研修で講師を務めるため、会場となる大阪に。新幹線の中で夕食

  • 21:00〜22:00

    翌月に控えた海外出張のため、現地の協働パートナーと電話会議

マストアイテム

赤いネクタイ

赤いネクタイ
ブッシュ元大統領や日本の首相なども大事な場面で良く着用していることもあり、勝負のプレゼン時などに着用して気合を入れます。

この仕事に就くには...?

研究を主とする仕事とは異なり顧客ありきなので、知識・経験のほかコミュニケーション能力も必要。武器としての多様な経験と、面接でも注目される面白い話ができるよう人間力を磨く。また、人にモノを伝える経験(アウトプット訓練)を多くしておくと、コンサルタントとしてのスキルをつけようとする時の素地になる。仕事内容・自分の適性を理解するため、インターンに参加することも良い機会。

佐竹 繁春さん

佐竹 繁春さん
Shigeharu Satake

野村総合研究所
社会システムコンサルティング部
※2017年取材時

2002年国際政治経済学研究科国際政治学専攻修士課程修了。同年、新卒採用にて同社入社。2007年、サウジアラビア関連のプロジェクトに就き、中東協力センターに常駐。2011年8月〜2016年3月まで同センターに出向の上、サウジアラビア拠点に駐在。2016年3月に帰国、現在に至る。

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