古谷 光太郎
CONDUCT BUSINESS WITH THE WORLD | 世界を相手にビジネスする
食品加工メーカー海外現地法人営業
NH Foods U.K. Ltd (英国日本ハム)
営業部 営業
古谷 光太郎さん
食品会社の海外現地法人での仕事とは?
(※古谷さんの場合)
食肉や水産物の調達、加工、品質管理、輸出入業務、営業など、商品を製造し販売に至るまでのさまざまな仕事がある。良質な食肉や水産物、それらの加工品を競争力のある価格で生産・購入しつつ、商品の安全性や品質にも責任を負う。日本と各国の食事情の違いについても留意して、各種業務にあたる。

アジアとその周辺を含む広範囲のニュースに目を凝らす

 私はジャパンフードという日本ハムのグループ会社に在籍していますが、現在は日本ハムの現地法人であるNHフーズU.Kに出向してロンドンに駐在し、日本ハムブランドの各種商品を大手スーパーや食品卸会社に販売しています。日本ハムが欧州で商品の販売を始めたのは5〜6年前からなので、まだそれほど認知度が高くないため、飛び込みの営業も含めさまざまな営業活動をしています。
 私の担当エリアでもあるスペインやイタリアは自分たちの食文化に強い誇りを持っているので、残念ながらあまり他国製品を購入してくれません。しかし日本食がブームの今、国によっては日本のメーカーが作る商品に好意的な雰囲気もあります。たとえば、長らく「イギリスの食事はまずい」と言われ続けてきた英国は世界各国の食品に寛容で、国内にはさまざまな国の食品を扱うスーパーがあります。私はその日系やアジア系のスーパーやレストラン、食品卸会社などに連絡をとり、商品を購入してもらうように売り込みをしています。
 一番営業効果が高いのは、やはりサンプルを提供することです。日本食ブームなので、現地の人たちが日本の食品を真似て製造した安価な食品もたくさんあり、少々値が張る日本の食品を売り込むのは難しいのですが、"日本クオリティ"は、食べれば「おいしい」と認めてくれるバイヤーが多いです。本物の日本の味を広めるべく、日本ハムの商品を売りながらも、大きく言えば"日本の食文化を世界に発信する"ために日々奮闘しています。

古谷 光太郎さん

海外の人との感覚のズレが引き起こした、過去の大事件

 私の在籍するジャパンフードは、牛肉や豚肉などの食肉や、ハムやソーセージなどの加工肉、さらには寿司ネタのような海産物などの食品を幅広く輸出入する、日本ハムグループの商社としての役割を担っています。そこで入社してから海外へ出向するまで、私は日本へ輸入される食品の貿易業務を担当していました。
 食品の輸入に伴う書類の記載事項に間違いがないかどうかをチェックしたりする管理業務が主な仕事でしたが、時々発生するイレギュラーな事態に悩まされることもありました。一番思い出深いのは、海外の大雑把な感覚が引き起こした荷物の重量オーバーがあった時のことです。1パック5kgと表示されているにもかかわらず、海外の業者は「量が少ないならクレームものだけど、量が多い分には問題ないだろう?」というアバウトな感覚でパッキングし、日本の税関でチェックされて輸入手続きがストップしてしまったのです。冷凍倉庫の中で箱を一つひとつ開けて、肉のパックをすべて量りに載せ、表記と異なる重量を申告するという作業はかなり大変でした。全部で100トンはあったので、冷凍庫の中で2週間仕事をするはめになり、心身ともに疲労困憊。現地の人への教育や情報共有の大切さを身を以て学びました。

生活の基本である、食の現場での仕事を楽しむ

 NHフーズU.Kに出向後の最初の赴任地はイタリアで、食肉工場に常駐して日本に輸出する豚肉の品質管理を担当しました。日本ハムはその名前からハムやソーセージだけを製造販売しているように思われがちですが、輸入した生肉や加工肉の国内販売もしています。例えば海外の食肉工場で加工された原料を日本の外食チェーン等に販売しており、これによって、店舗では大きなブロック肉を細かくカットする手間がかからずにお客さまへ提供ができるのです。
 日本で輸入管理を担当し、イタリアでは輸出の現場に携わることができ、現在働くロンドンでは製品を売り込む営業をして、輸出入が絡んだ食品に関わる事業の上流から下流までの一連の業務を見ることができたと感じています。食品は日々の生活に欠かせない、とても身近なものです。多民族が集まるイギリスでは、イスラム教徒のためのハラルフードなど宗教への配慮もさることながら、ベジタリアンやビーガンなどのような制限のある食生活の人も多く、日本式のソーセージや唐揚げ、天ぷらなどの商品を販売する弊社にとっては難しい一面もあります。しかし食の現場で働くということは、そういう人たちに配慮することも含め、生きること、生活することのベースに携わっているのだという実感を伴うものです。こうした日本とは異なる食品事情に気を配りながら仕事をすることも非常に面白く、やりがいとなっています。

古谷 光太郎さん

ある1日のスケジュール

  • 8:00〜10:30

    メールチェックや顧客からの発注対応、イギリス国外の顧客との連絡

  • 10:30〜12:00

    新規顧客開拓のため、ロンドン市内のレストランなどを中心に営業 にまわる

  • 12:00〜13:00

    ランチ

  • 13:00〜14:30

    既存顧客を訪問してミーティング

  • 15:00〜17:00

    事務所に帰社。外出中に入った案件などを処理

  • 17:00〜18:00

    当日の営業活動のまとめを作成して社内に報告

マストアイテム

エスプレッソコーヒー

エスプレッソコーヒー
イタリア駐在中に味の虜になり、イギリスに来ても朝食後やランチの後に飲んでいます。味が濃いので気分がスッキリします。

この仕事に就くには...?

古谷さんの個人的意見としては、食肉業界はかつては国内市場に注力していた企業が多く、英語に精通していたり留学や海外での生活経験が多い社員は多くない。しかし今後は業界のどの会社も海外事業の拡大を目標にしているため、比較的若い段階で海外にチャレンジできる可能性は高い。今後海外事業を拡大しようとしている企業に英語が比較的得意ということと海外に出たいという意欲を伝えれば海外に駐在できるチャンスは他の業界よりはある。

古谷 光太郎さん

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Kotaro Furuya

NH Foods U.K. Ltd (英国日本ハム)
営業部 営業
※2018年取材時

2014年国際コミュニケーション学科卒業、同年ジャパンフードに入社。輸入を中心に貿易業務を担当。2016年3月にNH Foods U.K. Ltdへ出向。イタリアに駐在して日本に向けた食品の輸出のため工場に勤務。2018年2月より欧州内販売を担当するため、ロンドンにある事務所に勤務して日本ハムの各種食品をスーパーなどに営業している。

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