
システムエンジニア
三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 米州システム部
白木 見佳さん
入社3年目の2017年7月からシンガポール勤務です。弊社の海外拠点はそれまで中国だけでしたが、東南アジアの拠点としてシンガポールオフィスを立ち上げることになり、社員1号として赴任。事務所探しに始まり、当初は現地のパートナー企業の開拓にも苦労しました。コミュニケーションのプロである職種ですが、シンガポール初日から自身のコミュニケーション能力をフル稼働させたのが思い出です。現在は彼らパートナー企業の協力もあって各メディアとの信頼関係も良好で、2018年に現地法人化を果たしました。
クライアントは主にアジアに進出している日系企業です。企業の規模は大小あり、東南アジアにも広報セクションを備えている大企業では目的に応じた専門的なサポートを、小さい組織のクライアントではこちらが手足となって動くことが多いです。東南アジアのハブとなるオフィスなので、ジャカルタやバンコクへ1ヶ月に1度ほど出張し、新規顧客も開拓します。
PRコンサルタントという職種を選んだのは、好奇心を満たし続けながら専門的なスキルが身につき、グローバル企業を担当すれば英語力も生かせるだろうと思ったからです。それでも、日本にいた頃は外資系のクライアントのために英語で資料を作ることはあっても英語で会話することは滅多にありませんでした。今は担当者が日本人でないことが多く、80%は英語を使って仕事しています。現地スタッフは多くないので、自分で考え、行動し、解決することの連続で、そこが面白さであり難しさでもあります。国籍もいろいろな個性豊かな記者や、東南アジアで頑張ろうというクライアントとの出会いそのものが仕事の醍醐味で好奇心の源泉です。シンガポール赴任は本当に大きなターニングポイントになりました。
クライアントが求めることをコンサルティングする、基本は代理店業務と言えます。たとえば自動車会社のメディア向けの記者発表会なら、まず当日どういう人を招くのか、メディアだけでなく政府関係者も招待すべきかなどを検討します。プレゼンテーションの流れを考え、それに沿って、登壇者のスピーチの中身やプレスリリースを作ります。どのメディアにどんなアプローチをしたら効果的かを判断し、場合によってプレスリリース以外の資料を作ったり、個別のインタビューを提案してセッティングしたり。クライアントが一番伝えたいメッセージがメディア発信されることを重視します。
「こんなこともやるの?」と感じるような見えない動きもあります。クライアントの社長がインタビューを受ける際にどんな服装をしたらいいか相談に乗ったり、記者発表会場でつまづきそうなコードが目についたらガムテープを貼るなど、まさに黒子です。専門的な仕事と思いきや、マルチプレーヤーでもあります。
さらに、海外でのPR活動では、伝え方や使うべきメディアについて、多様な価値観や宗教観に配慮する必要があります。一例を挙げると、イスラム教徒は豚肉を食べないだけでなく犬もタブーで、ホットドッグ屋の店名を変更してしまうほど。そこに出て行きたい日本企業に対しては、犬のキャラクターを持っていても使わないなど、宗教に留意したPR手法を用いてサポートします。
東南アジアといっても、一つひとつの国は大きく違い、深く理解するのに終わりはないなと感じています。先の宗教で言えば、シンガポールは多民族・多宗教ですが、タイは仏教、フィリピンはキリスト教、インドネシアはイスラム教が、それぞれ多数派です。そういった面でも、シンガポール駐在ならではのPRスキルが身についている実感があります。
日々クライアントと接することが勉強で、クライアントが自動車会社なら業界紙や車に関するメディアを読んだり、競合他社がどんなPRをしているかも調べます。知れば知るほど面白くなる、飽きない仕事ですね。とくにメディア業界はエネルギッシュな方が多く、知識や刺激をたくさんもらえます。昨日ランチしたマーケティング系の媒体のインドの方は、最近インドのマーケットが熱いんだと、それこそ熱く語ってくれました。最新情報や広い視野を得られるメディアや顧客とのコミュニケーションも、楽しい時間になるのが魅力です。
クライアントをPRするというミッションに向かって、自分でプランニングし、自分の手を動かして世の中に働きかけ、それがヒットしたり消費者に届くというこの仕事は、成果が目に見えやすいところが大きなやりがい。知りたい気持ちを絶やさずに、東南アジアのPRについて語れるコンサルタントを目指していきます。
メールの確認、クライアントの露出記事確認など
クライアントとミーティング
メディアの担当者と情報交換を交えたランチ
新規のクライアントに向けた提案書作成
日本のチームとの定例電話会議
リサーチ、書類作成など
AirPods
電話会議がとても多いため、ワイヤレスのイヤホンが登場したのはうれしかった。ワイヤー付きにはもう戻れない、私にとって欠かせないアイテムです。
好奇心旺盛な人、人の話に耳を傾けられる人、自分の頭で考えて行動したい人に向いている。新卒採用枠があり特別な資格は不要だが、PRの職種、企業に興味があればインターンを経験するのがおすすめ。黒子的な仕事の中身もわかる。海外に拠点を持つ会社でも仕事内容や特長は異なるので、クライアント名なども確認しよう。
2014年国際経済学科卒業。同年4月、株式会社プラップジャパン入社。2017年7月よりプラップシンガポールの駐在スタッフとして、主に東南アジアに進出している日系企業の広報活動を担当している。