大谷 和美
CONDUCT BUSINESS WITH THE WORLD | 世界を相手にビジネスする
会議ディレクター
日本コンベンションサービス株式会社
MCI-JCS Japan
大谷 和美さん
会議ディレクターの仕事って?
各種業界団体などが主催する国際・国内会議をはじめ、企業が主催するイベントの企画や運営に携わる専門職。会議のコンセプトやプログラム形成といったベースづくりから関わることもあれば、会議運営に関わるスケジュール管理や機材・警備・通訳の手配を行うなど、会議開催にあたって必要な多岐に渡る業務を行う。

国内・国際会議を成功に導く、専門家集団

 日本コンベンションサービスは、会議の企画・運営を専門とする会社です。APEC首脳会議のように各国のトップが関わるような国際会議から、医学会などの業界団体が主催する各種会議、企業が主催するイベントまで幅広く対応しています。例えば「メインスピーカーは決まっているけれど、その他の内容をどうつくったら良いのか」と尋ねられれば会議のコンセプトづくりもしますし、会議の重要な側面であるレセプション(懇親会)をどうセッティングするかなどの企画提案も行います。さらに私たちのような運営会社がいなければ、会議の主催者は、飲食や施工物はホテルに、通訳は通訳会社、マイクやスピーカーなどの機材はレンタル会社、参加者が利用する飛行機や宿泊の手配は旅行会社というように、さまざまな依頼を自分たちでこなさなければなりません。それを私たちは主催者側の意向を聞きながら関係各所との連絡を取りまとめ準備をし、会議が無事に行われるようにサポートします。
 また国際会議の運営にあたっては慣習の違いにも気をつけます。国内会議はプログラムの午前と午後の部にそれぞれ1回10~15分程度のコーヒーブレイクをとることが多いのですが、国際会議でのコーヒーブレイクは参加者同士の大切な意見交換の場になります。午前だけでも20~30分程度の長めのブレイクを入れたり、2回に分けて入れるなど、長年さまざまな会議の運営に関わる専門会社ならではの情報と経験で会議を成功に導きます。

コミュニケーションを活性化させるアイデアを持つ

 これまでで一番エキサイティングでかつ難しかったのは、ある外資系SNS関連会社のイベントに携わった時のことです。それは4つの国でリレー的に開催されるイベントの東京での会でした。われわれに持ちかけられたのは、イベント参加者に楽しく盛り上がっているところを、SNSを通じて発信してもらう企画の提案です。イベント開催予定日の3〜4ヶ月前から会場探しをスタートするという、時間に余裕のない中での仕事で、さらにIT業界の専門用語にうとかったため、話される内容についていくことも難しく苦労しました。また、まだ入社して1年程度で経験があまりなく、なかなかアイデアが湧かなかったり、伝えたいことを英語で伝えられず悶々としていたのを覚えています。
 しかし私なりに「日本らしさを出したら良いのでは」と考え、コーヒーブレイクにどら焼きを出すことを提案。生クリームやフルーツなど、中にトッピングするものをさまざま用意して、オリジナルのどら焼きをつくってもらったり、おつまみも普通のスナックではなく梅味やわさび味などの日本らしい豆菓子を用意したりしました。そのほかにも目新しい演出として3色ミニバーガーを提供したり、畑に見えるサラダを出したりと楽しさを演出。準備は大変でしたが、多くの参加者にSNSにアップしてもらうことができ、クライアントにも喜んでいただけました。その結果クライアントの日本法人から仕事の依頼が入るなど、次につながり、とても大きな自信も得られました。こうしたアイデアは国際会議のコーヒーブレイクなどコミュニケーションが大切な場の運営にも活用できるので、自分の引き出しも増えました。

大谷 和美さん

会議運営に関わる人たちのまとめ役として

 国際会議にしろ、イベントにしろ、海外にベースを置く主催者が日本で開催する会議やイベントをサポートすることもあれば、日本の主催者が海外で行うものをサポートする場合もあります。どちらにしても、国をまたいで仕事をするのは非常に気を遣います。
 例えば「No」という言葉ひとつとっても、日本人は「できるかもしれないけれど、前例がないので100%確証がとれるまではできない」という意味で「No」を使うことがありますが、海外の人の場合は「何が何でも絶対できない」という意味にとらえることが多いです。日本側が「No」と言った時に海外の人は「なぜできないのか」と不審に思い、それが重なっていくと日本とのやりづらさを感じて、日本での開催を断念したり、日本が主催する会議への参加に及び腰になるようなことにつながりかねません。そこで間に立つ私たちが相手の意向を汲んで代替案を出したり、表現や伝え方を換えたりすることでうまくことが運んだ時は、良い架け橋役になれたことを嬉しく思います。
 今後は米国を中心に約1万4000人が取得しているCMP(Certified Meeting Professional)という資格をとって世界基準の国際会議の企画運営者となり、世界の最前線の意見交換・交流の場である会議をつくり支えていきたいと思います。

大谷 和美さん

ある1日のスケジュール

  • 9:30〜11:00

    メールをチェックして今日やらなければいけない仕事を整理

  • 11:00〜12:00

    部会(各自担当案件の進捗や問題点を部内で共有、相談)

  • 12:00〜13:00

    クライアントと電話会議

  • 13:00〜14:00

    ランチ

  • 14:00〜15:30

    大事な資料の作成やサプライヤーとの打ち合わせ

  • 16:00〜17:00

    クライアントと打ち合わせ

  • 17:30〜19:00

    電話会議のレポートを作成、サプライヤーへの連絡調整など

  • 19:00〜19:30

    日報を記入

マストアイテム

ジム

ゆで卵
自分がメインとなる現場運営中はなかなか食事の時間がとれないため、パッと食べられるゆで卵が私の大事な栄養補給アイテムです。そんな情報がいつしか回り、サプライヤーさんから差し入れでいただいたこともあります!(笑)

この仕事に就くには...?

一つの会議のサポートでもスケジュールや予算の管理、機材や人員の手配などさまざまな業務があるので、それを同時にこなすマルチタスク能力が必要。さらにクライアントの要望に応えるための強いメンタリティーも重要。また国際的な会議やイベントに関わることも多いので、英語をはじめとする語学力を鍛えておくと良い。

大谷 和美さん

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Kazumi Otani

日本コンベンションサービス株式会社
MCI-JCS Japan
※2018年取材時

2014年国際コミュニケーション学科卒業、同年日本コンベンションサービス(JCS)に入社。スイスに拠点を置くグローバルな会議運営会社MCIとJCSの合弁会社(MCI-JCS Japan)に新卒として初めて配属される。国際会議をメインに扱い、99%が海外クライアント、平均で年間7、8件の会議・イベントづくりに携わっている。留学経験はないが幼少期に2年間、ニューヨークに居住経験あり。

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