
システムエンジニア
三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 米州システム部
白木 見佳さん
IHIには「資源・エネルギー・環境」「社会基盤・海洋」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4つの事業領域があります。私は「資源・エネルギー・環境」事業領域で、受注した発電プラントの構成機器一式を国内外に納めています。当社の設計に従って構成機器を各メーカーにつくってもらい、できあがったものを各地の発電所建設予定地に輸送して、現地で組み立てて発電プラントを完成させます。輸送対象物は段ボールサイズのものから100トンを超える発電機本体に至るまでさまざまあり、国際宅急便から外航船チャーター輸送まで配送物の輸送に適した業者を選別して輸送を依頼します。
輸送の仕事で大切なのは、QCD<Quality(品質)、Cost(値段)、Delivery(納期)>です。これを確保するため、輸送業者や輸送コーディネート業社などと交渉します。輸送業者にはそれぞれ、トラックの輸送に長けていたり、アフリカ地域での輸送を得意としていたり、通関業務に強いなどの特徴があるので、それらを考慮してQCDのパフォーマンスが最も良くなるように調整します。また荷物がぶつかって製品が変形するなどの事故が起こることのないように、各社の管理状況を把握することも仕事のひとつとなります。
QCDの中で最も気をつけなければならないのが、D=納期です。現地で発電プラントを建設するにあたって、構成部品が到着していなければ建設スケジュール自体を遅らせてしまうことになります。また早く到着しすぎてもいけません。なぜなら置く場所が必要になるからで、場所の賃貸料などが発生すればコストに関わってきてしまいます。建設スケジュールに合わせて、現場が欲しいタイミングで部品を到着させなければなりませんが、国際輸送の場合は、こちらの思う通りにならないことが多々あります。
以前ポルトガルからモザンビークに部品を輸送しなければならなかった時に、載せる予定だった船が予定より早く出航してしまうことがありました。日本国内の輸送ではあまり考えられないことですが、海外では船会社の都合で航行日程がコロコロ変わってしまうのです。そこで輸送業者に依頼してバックアップ船を探してもらいましたがそれでは間に合わないため、自分で船足の早い船を見つけて、遅れを最小限に留めることができた時には心底ホッとしました。
発電プラントは発展途上国で建設することが多いのですが、プロジェクトが始まる際には現地に足を運んで、輸送のための下見を行います。大きなプラントの部品ともなれば100トンを超えるものもあれば、非常に長い電柱のようなものを運ぶこともあります。部品が到着する港から建設現場に至るまでに障害がないかどうか、例えば橋は荷重に耐えられるのか、橋の下をくぐる際は高さが十分確保されているのかなど、チェック事項はたくさんあります。またこうした規格外の重さや長さのものを搭載することができるトレーラーを期日中に確保できるのかなど搬送手段についても確認しなければなりません。さらに発展途上国では輸送に関係する法律もよく変わるので、把握することも大切な仕事になります。
予期せぬことが多発する国際輸送で、できるだけ大事にならないよう製品を輸送するために、なるだけ「多くの情報」を「早く入手」して「先手を打つ」ことが必要です。遅延が発生しそうだと早めに把握できれば、その分だけ手立ての選択肢が広がります。正確な情報をいち早くつかむための情報網もしっかりつくるようにしています。
海外からのメールを確認し、回答や質問などの返信をする
輸送手段や各業者を比較検討する
ランチ
業社と打ち合わせ
社内会議
海外現地法人との電話web会議
資料作成や雑務処理
頭をリフレッシュさせるために、できるだけ体を動かすようにしています。ジムで筋トレしたりサッカーに熱中して、一度仕事のことを頭の中からすっかり追い出しています。
理系が活躍するメーカー企業で、文系が就ける部署のひとつ。輸送業者など多くの人の力を必要とする仕事なので、コミュニケーション能力が最も大切。さらに海外への輸送や、海外で購入したものを国内に運ぶなどする場合は語学力も必要になる。この職に就いてからでよいが通関士の資格を勉強すると仕事に役立つことが多い。
2010年国際経済学部卒業、同年、社会インフラ関連でかつ国際的な業務をしたいと、大手物流会社に入社。主に国際輸送コーディネート業務を担当し、5年目にはフィリピンに駐在。現地スタッフの管理者として仕事に携わる。2017年IHIに中途入社し現職。大学2〜3年次にかけて米国のサンディエゴ州立大学への交換留学経験あり。