
システムエンジニア
三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 米州システム部
白木 見佳さん
私が勤務しているのは、海外からの留学生や研修生の受け入れ、また海外への派遣サポートを通じて国際協力や国際交流の一端を担う団体です。その中で私は、2013年6月に第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)で安倍首相が表明した「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ『修士課程およびインターンシップ』プログラム」、通称「ABEイニシアティブ」事業の運営支援を行っています。これは5年間で1,000人のアフリカの若者を受け入れ、日本の大学院での教育と日本企業でのインターンシップの機会を提供するもので、急成長するアフリカ諸国のこれからの発展に寄与するであろう人材を受け入れることで日本とアフリカとの人脈をつくり、未来において両国に豊かな関係が築かれることを目指しています。
この事業の中で私は、アフリカからの留学生を日本企業にインターンとして派遣する連絡窓口をしています。インターンシップに協力いただく企業の開拓から、留学生と企業のマッチングイベントの企画・運営と両者間のマッチング作業、インターンシップ期間中の実施内容の監理、インターンシップ終了後のアンケートの作成や結果の取りまとめまで、インターンシップに関わるあらゆる仕事に従事しています。
日本人にとってアフリカは地理的にも心理的にも遠い国です。海外展開を見据えてインターンの受け入れを考えている企業があっても、その多くは対象国として東南アジアやインドなどを考えており、アフリカには将来的な可能性は感じつつも、まだ先の話ということも少なくありません。それほどアフリカの情報はあまり入っておらず、他国と比べると、ビジネス展開上の関心を持っていただきにくいのが現実です。しかし、例えばアフリカのルワンダは「世界で最もICT促進に成功した」として世界経済フォーラムから表彰されたICT立国なのをご存知ですか? 先進技術を取り入れた国土の開発が進み、全土に光ファイバーケーブルが敷設されていたり、ドローンの専用空港ができたり、ルワンダでは一足飛びのICT化が進んでいます。
このようなアフリカ諸国の現状をお伝えすることで、IT企業やベンチャー企業などにインターンシップに興味を持っていただくことも、私の仕事のひとつとなっています。またビジネスに直結しなくても、留学生を受け入れることによって、企業内に多様性が生まれて組織の活性化につながったり、ビジネスの海外戦略を考える上で重要な新しい視点やアイデアが生まれることもあると思います。そのために必要な受け入れ体制づくりのお手伝いなどもしています。
私は広島県出身です。幼い頃から戦争や平和について考える機会が多く、大学に入る以前から平和な世界をつくるためのひとつの方策としての海外との文化交流に少なからず興味を持っていました。そのため進学してすぐ、長期留学を視野に入れ大学1年次にアメリカン大学での短期研修プログラムに参加しました。自分が話す英語はほとんど通じず、ネイティブが話す英語もほぼ理解できなかったにも関わらず、国際機関などを見学できたことも楽しく、また意思疎通は身振り手振りを使えばどうにかなるものだと自信をつけて帰国。大学の制度を利用し、3年次に米国のノースセントラルカレッジに1年間の交換留学ができたことは、海外の人との交流事業に深く足を踏み入れることへの大きなきっかけとなったと思います。
そして今仕事として、アフリカと日本をつなぐ架け橋となる事業に携わることができ、さらには自国に戻ったインターンたちが日本の企業と力を合わせて、さまざまな成果を挙げていることには、深く心を動かされています。例えばタンザニアでは、神戸のIT企業とインターンのアイデアで開発された、バスの現在地を知らせるアプリが完成していたり、ケニアでは、宮崎のIT企業とインターンがeラーニングツールを用いて、ケニアの教育にイノベーションをもたらそうとしています。こうした良好な人的交流が続くことによって平和というのは保たれるのではないかと感じています。これからも人と人、国と国をつないで、大きなことを言えば、平和な世界をつくるために働いていきたいと思います。
インターンシップ計画について、メールや電話でのコンサルテーション
チームミーティング(災害発生時の影響予測や対応策再確認)
ランチ
旅行手配結果や留意点などを関係者・関係機関に連絡
ケニアからの留学生受け入れ企業での報告会に参加
企業からの問い合わせ対応や、報告書作成のためのデータ整理など
声楽の発声用の譜面
社会人になってから声楽に目覚め、ずっと習っています。お腹から声を出すと、どんな時でも気分が晴れます。
企業との調整仕事が多いので、メールや電話応対などの基本的なビジネスマナーを知っていることはもちろん、仕事のスピード感や交渉力を持っていることを求められる。そのため特に民間での就業経験のある中途採用の人材が多く働いている。またインターンとのやりとりも多いので英語でのコミュニケーション能力は必須となり、TOEICは800点以上のスコアが必要。
2010年国際コミュニケーション学科卒業、その後2年間タイ王立チュラロンコン大学大学院に留学。修士課程修了。その間、日本語現地新聞社「バンコク週報」で記者として4ヶ月間のインターンシップを経験。2012年、就職や進学情報などを提供する企業で、営業や海外事業企画、広報の仕事に従事。2014年に広島に戻り、医療法人が行うNPO MOCT活動に携わり、2017年2月から現職。